RubyとNode.jsが使えるPaaSという触れ込みの「Duostack」をRubyのSinatraで使ってみた。操作体系が驚くほどHerokuにそっくりで、今回の記事は以前Heroku用に書いたHerokuでSinatraを使ってHello worldするをベースにしていて、この記事の中に出てくるheroku
コマンドのところをduostack
コマンドに置き換えるだけでだいたい使えるようになってしまうくらいのレベル。今回の完成品はこちら。ちなみに、DuostackをNode.jsで使うチュートリアル記事はこちらが詳しくてわかりやすかった。
聞きかじったDuostackの前知識
Twitterやブログなどで、Duostackを使う以前から聞きかじっていた情報が以下。
- 操作体系がHeorkuにクリソツらしい
- デフォルトのDBはMySQLらしい (HerokuはPostgreSQL)
- アプリ名(URL)にハイフンが使えないらしい (Herokuでは使える)
- 使えるRubyのバージョンは1.8系だけらしい (Herokuは1.8.6/1.8.7/1.9.2が利用可能)
- Duostackでも使用できるRubyのバージョンは1.8.7と1.9.2で選択可能でした。
今回のチュートリアル記事で、実際に試してみたら4つとも3つだけその通りだった。
Rubyのバージョンは1.9.2も利用可能でした。初出時に間違った情報を載せてしまいました、ごめんなさい。
Ruby環境
前提としては以下の2つ。
- Duostackにサインアップ済みであること
- Gitが利用できる環境であること
今回利用するRuby環境とGem。試したのはMacでRVMを利用している。
- Ruby 1.8.7 p334
- Bundler 1.0.13
- Duostack 0.5.0
- Sinatra 1.2.6 (Bundlerで入れる)
現状Windows(でRubyの場合)では、Cygwinを使わないと利用できないとDuostackのサイトやコマンドプロンプトでやってみたところ、確かにduostack createコマンドでアプリを作成するところでエラーになってしまってその先に進めなかった。今後の対応待ちかな。自分はCygwinを使ってないので、Cygwin環境での利用は試してない。ちなみに、HerokuではWindowsのmsysGitやコマンドプロンプトでも普通に利用できる。
gemのインストール
ここから先は、実際にDuostackでSinatraを使ってHello worldするまでの手順となる。まず、BundlerとDuostackが必要なので、それらをインストールする。
$ gem install bundler duostack
Duostack用のフォルダ(gitリポジトリ)を作成
Duostack用のフォルダを作って、gitリポジトリを作成する。Duostackを使う上でGitは必須になる。
$ mkdir duostack-hello-world
$ cd duostack-hello-world
$ git init
次に、duostack
コマンドを使ってDuostackアプリを作成する。最後のアプリ名は任意で、好きな名前を付けられる。ここで付けた名前がURLになり、http://アプリ名.duostack.net/ でアクセスできるようになる。
$ duostack create duostack-hello-world
初回は、Duostackサインアップ時に登録したメールアドレスとパスワードを聞かれるので入力する。
First-time Duostack client setup
Email:
Password:
Completed initial setup... waiting for sync...
噂通り、アプリ名にハイフンが使えないようで、duostack-hello-world
と入力したらエラーが出た。
$ duostack create duostack-hello-world
duostack: invalid app name, see app name restrictions in help docs
仕方ないのでアプリ名をduohelloworld
にして、再度Duostackアプリの作成を試みる。
$ duostack create duohelloworld
App created
Git remote added, to push: 'git push duostack master'
Duostackアプリの作成に成功すると、git remoteにduostackが自動で追加される。
$ git remote -v
duostack git@duostack.net:duohelloworld.git (fetch)
duostack git@duostack.net:duohelloworld.git (push)
この時点で、既にhttp://duohelloworld.duostack.net/にはアクセスできるようになっており、アクセスすると「No Duostack app configured」と表示される。また、Duostackサイト上のアプリ管理画面にも生成したアプリ名が出現する。
各種Rubyファイルを作成
Duostack上にアプリのスペースを確保したので、そこにアップするSinatraアプリのコードを書く。最終的に、以下のようにプロジェクトフォルダ直下に4つのファイルを作成する。
.
├── Gemfile
├── config.ru
├── app.rb
└── .gitignore
0 directories, 4 files
1. Gemfile
まず、Gemfile
ファイルを作成する。Sinatraが必要なので、その指定を記述する。
source :rubygems
gem 'sinatra'
でbundle install
する。
$ bundle install --path vendor/bundle
Fetching source index for [http://rubygems.org/](http://rubygems.org/)
Installing rack (1.2.2)
Installing tilt (1.3)
Installing sinatra (1.2.6)
Using bundler (1.0.13)
Your bundle is complete! It was installed into ./vendor/bundle
vendor/bundle
フォルダにgemがインストールされて、Gemfile.lock
が生成される。
2. config.ru
次に、Rack用のconfig.ru
ファイルを作成する。ここで全部requireするようにしておく。
require 'rubygems'
require 'bundler'
Bundler.require
require './app.rb'
run Sinatra::Application
3. app.rb
そしてアプリの本体となる、Sinatraの処理を記述するapp.rb
ファイルを作成する。今回はトップページにアクセスしたらHello worldと表示する処理だけを記述。
get '/' do
'DuostackでSinatraを使ってHello world!'
end
4. .gitignore
最後に、gitリポジトリに含めなくて良いファイルを指定する.gitignore
ファイルを作っておく。中身は例えば以下のような感じ。このファイルは必須ではないので無くてもOK
.DS_Store
/.bundle
/vendor
Bundler関連のファイルはgitリポジトリに含めなくて良いので、それを指定しておく。
ローカルでプレビュー
上記で作成したデプロイ予定のSinatraアプリを、まずはローカルでプレビューしてみる。ローカルでアプリを起動するには、Bundler経由でrackup
コマンドを実行する。
$ bundle exec rackup
[2011-05-12 00:13:44] INFO WEBrick 1.3.1
[2011-05-12 00:13:44] INFO ruby 1.8.7 (2011-02-18) [i686-darwin10.7.0]
[2011-05-12 00:13:44] INFO WEBrick::HTTPServer#start: pid=66511 port=9292
この状態で、http://localhost:9292/にアクセスして「DuostackでSinatraを使ってHello world!」と表示されれば準備オッケー。Ctrl+C
でローカルプレビューのSinatraアプリを終了しておく。
デプロイ
それではDuostack上に作ったアプリのhttp://duohelloworld.duostack.net/に向けてデプロイする。まずは今まで作ったファイルを全部、gitリポジトリにコミットする。
$ git add .
$ git commit -m 'first commit'
コミットができたら、Duostackにgit pushでデプロイする。
$ git push duostack master
初回はRSA鍵がらみでこのまま実行しておk?的なことを聞かれる。多分オッケーなのでyesと答えておく。
Are you sure you want to continue connecting (yes/no)?
あとはデプロイが完了するのを待つだけ。以下はその時のログ。DBで使うMySQL用gemをインストールしているのがみえるので、デフォルトのDBは噂通りMySQLっぽい。
==== Duostack deploy received for duohelloworld
==== Detected Gemfile; running Bundler to install gems...
Fetching source index for [http://rubygems.org/](http://rubygems.org/)
Installing mysql2 (0.3.2) with native extensions
Installing rack (1.2.2)
Installing tilt (1.3)
Installing sinatra (1.2.6)
==== Installed 4 new and 1 existing gems successfully
==== Compiling app... done
Compressed size is 1.5MB
==== Launching first instances...... done
==== App successfully deployed to [http://duohelloworld.duostack.net](http://duohelloworld.duostack.net)
To git@duostack.net:duohelloworld.git
* [new branch] master -> master
デプロイが完了したら、http://duohelloworld.duostack.net/にアクセスしてみると「DuostackでSinatraを使ってHello world!」と表示されているはず。これでSinatraアプリのDuostackへのデプロイが完了!ここまでのソースコードの状態をGitHubに置いたので参考までに。
ruedap/duostack-hello-world at 1.0 - GitHub
感想
ほんとにおそろしいほどHerokuにソックリでビックリする。既にHerokuを使っている人なら、ほとんど学習コストも無くDuostackを利用できるのではないだろうか。まだHello worldしかしてないけど、Herokuと比較した場合、Herokuのほうが高機能・便利な印象を受けた。Duostackは新しくできたばっかりなので今後に期待。
また、以前の記事で触れているAWS障害対策という意味でのHerokuの代替PaaSとしては、Duostackも裏側でAWSを利用しているので対策にならない。AWS以外の障害・バックアップ対策のHeroku代替としては、操作体系がクリソツなのでかなり有力だと思った。
Duostack · Docs: Quick Start Guide HerokuでSinatraを使ってHello worldする